はじめに

「加速器の制御で使っている技術を、身近なところにも活かせないか?」

そんな発想から、手のひらサイズのコンピュータ Raspberry Pi Zero W と、加速器施設で標準的に使われている制御フレームワーク EPICS を組み合わせて、オフィスの環境モニタリングシステムを構築しました。

使ったもの

項目内容
コンピュータRaspberry Pi Zero W
センサーOMRON 2JCIE-EV01-RP1 環境センシングHAT
制御フレームワークEPICS(Experimental Physics and Industrial Control System)
モニタリングPCMac(社内ネットワーク経由)

OMRON製のセンシングHATには、温度・湿度・気圧・照度の4種類のセンサーが搭載されています。Raspberry Pi の上にぴったり載るボード型なので、配線不要でコンパクトに収まります。

EPICSとは?

EPICS は、世界中の加速器施設や大型実験施設で使われているオープンソースの制御システムフレームワークです。KEK(高エネルギー加速器研究機構)やCERN、Spring-8 など、大規模施設での採用実績があります。

当社はこの EPICS を用いた制御系の設計・構築を手がけており、そのノウハウを活かして今回のシステムを組みました。

システム構成

構成はシンプルです。

  1. Raspberry Pi がセンサーから2秒ごとにデータを取得
  2. EPICS IOC(Input/Output Controller)がデータをネットワーク上に配信
  3. モニタリングアプリ(Python製)がリアルタイムでグラフ表示

Raspberry Pi 上では EPICS の softIOC が常時稼働しており、温度(TEMP)・湿度(HUMID)・気圧(PRESS)・照度(LUX)の4つのプロセス変数(PV)をネットワークに公開しています。

モニタリング画面

Mac側で動かしている監視アプリでは、リアルタイムのグラフ表示に加えて以下の機能を実装しています。

  • スクロールグラフ: 約100分間のデータを連続表示(上段:温度・湿度、下段:気圧・照度)

やってみて

小さなRaspberry Piでもきちんとしたデータが取れること、そしてEPICSが大規模施設だけでなく手軽な用途にも適用できることを実感しました。

将来的には、工場内の温湿度管理やクリーンルームの環境監視など、産業用途への展開も視野に入れています。「大げさな設備を入れるほどではないけれど、データはきちんと取りたい」——そんなニーズに応えられるソリューションです。


BLUE KEY では、加速器・研究施設向けの制御設計から、産業機械のFA設計・診断まで幅広く対応しています。お気軽にご相談ください。